オレンジ色の校舎
あたしは一礼して、職員室を後にしようとした。
「浅井」
すると再び、須田ちゃんから呼び止められた。あたしは数冊の資料を抱えて振り返った。
「思っていることは、ただ心に抱いているだけじゃなくて、しっかり言葉にしないと伝わらないぞ」
これは勉強に対して言っているのか、それとも恋愛で言ってるのかわからないけど…どちらも当てはまる正論だった。
「失礼しました」
廊下の棚に置いていたお弁当と、須田ちゃんからもらった資料を抱えて、あたしはある場所に向かった。
『進路室』
ここでは飲食は禁止。だけど、あたしは規則を破ろう…と思った。どうせ誰もいないし、あまり人もこないし。
進路室のドアを開けると、あたしの推測を破るような光景が目に入った。先客がいたのだ。
それもまさかの…瀬川くんが。