オレンジ色の校舎
今しかない…か。確かにそうだよね。大人になってからじゃ、就職で県外に出ることはないのかもしれない。
なんだろう。少し気持ちが落ち着いたっていうか、力が抜けたっていうか。
「………せ、瀬川くん…あたし、第1志望はK大にする。親ともじっくり話してみる」
瀬川くんが背中を押してくれたから、K大を選択出来たのかもしれない。瀬川くんからの一言があったから…。
きっと両親は…あたしの意見に賛成してくれる。…嫌だとしても顔に出すことはないだろう。
でもね、あたしはこれから恩返しするよ。ねぇ…それじゃいけないかな?
「よし!お互い、やっと学校が確実になったな。あとは…勉強とかだなぁ」
少しだけ進路が決まったあたし達は、心が軽くなった。高校3年生はこんな思いを背負って、未来へ羽ばたいていくんだね。