オレンジ色の校舎
K大を志望するとを決めたあたしは、今日はもう進路室には用はない。麻衣のところに帰ろうかな。
「あの、瀬川くん」
「あのさ、浅井」
すると、瀬川くんと言葉が被ってしまった。あたしは慌てて一歩譲る。
「なんか…ごめん」
「い…いいよ。で…何?」
「……あのさ、浅井って健真が好きなの?」
「…たっちーを?あたしが?」
「うん。だって、バレンタインで健真にチョコ渡したじゃん?」
あ…そういえばあの時、たっちーにチョコ渡すって瀬川くんに言ったっけ?
「あ、あれは…たっちーを呼び出すことを頼まれただけで、あたしはチョコ渡してないよ」
「そうなの?」
「うん。それに…」
゙たっちーを好きなのはあたしじゃなくて麻衣だもん゙
「それに…何?」
いや…これは言っちゃいけないよね。あたしは今の言葉をぐっと飲み込んだ。