オレンジ色の校舎

「な…なんでもないや」



あたしはあはは、と笑って話を交わした。



「……そっか。浅井、健真のことを好きじゃないんだな。……よかった」



───…え？



あたしがたっちーのことを好きじゃなくて……よかった？胸がドキドキと脈を打つ。



「……よ、よかった？」



あたしはどういう意味？とは聞けなくて言葉を濁した。



「うん。健真さ……永納のこと好きなんだ。だから、もし浅井が健真を好きだったら…って思って」



要するに瀬川くんは、あたしが失恋しちゃうっていうのを思ってくれていたわけなんだ？



「だ、大丈夫だよ。てゆうかたっちーの気持ち知ってるよ？」



「え？告白したの？」



「こっこっ、告白！？するわけないよ。ただちょっと聞いちゃったことあって…」



「ちなみに永納は…？」



「たっちーの気持ちには気づいてないよ」