オレンジ色の校舎





だけど、やっぱりあの頃には戻りたくない。今がいい。この時間がいい。



「どうした、浅井」



もう、瀬川くんの隣にいることはない。友達としては近くにいられるけど、彼女…としていることはないんだ。



「浅井?」



瀬川くんがあたしの頭に優しく手を置いた。ダメだ、この感じ。また…また泣きそう。



優しくされたら、瀬川くんと楽しく話が出来たら…なぜだかわからないけれど涙が溢れそうになる。



バサッ



「そんな顔すんなよ」



あたしの目の前は一気に真っ暗になった。あたしの頭から顔にタオルがかけられたのだ。



「いつも浅井を困らせてばっかりだよな、俺」



「せ…瀬川く…違っ」



「やっぱり……中3ん時に別れてて正解だった」



タオルから瀬川くんの影が映る。なんでそんなこと言うの?あたしは…あたしは…



すっごく後悔したのに。






< 192 / 574 >

この作品をシェア

pagetop