オレンジ色の校舎
だけど、やっぱりあの頃には戻りたくない。今がいい。この時間がいい。
「どうした、浅井」
もう、瀬川くんの隣にいることはない。友達としては近くにいられるけど、彼女…としていることはないんだ。
「浅井?」
瀬川くんがあたしの頭に優しく手を置いた。ダメだ、この感じ。また…また泣きそう。
優しくされたら、瀬川くんと楽しく話が出来たら…なぜだかわからないけれど涙が溢れそうになる。
バサッ
「そんな顔すんなよ」
あたしの目の前は一気に真っ暗になった。あたしの頭から顔にタオルがかけられたのだ。
「いつも浅井を困らせてばっかりだよな、俺」
「せ…瀬川く…違っ」
「やっぱり……中3ん時に別れてて正解だった」
タオルから瀬川くんの影が映る。なんでそんなこと言うの?あたしは…あたしは…
すっごく後悔したのに。