オレンジ色の校舎
すると、瀬川くんの影が動き出した。お弁当を片付ける音、資料を閉じる音が聞こえる。
「せ…瀬川くん、あの…」
「あっ、ちゃんと涙拭くんだぞ。俺、永納から疑われそうだし」
「ちょ…瀬川く…」
あたしはタオルを取って瀬川くんを見た。瀬川くんはドアの入口に立っていた。
「浅井、進路頑張ろうな。あと、健真と永納を応援しような!」
ドアの閉まる音が、あたしの瀬川くんへの想いを打ち切るような合図に聞こえた。
「せ、がわくん…」
瀬川くんにとっては、あたしと別れたことは正解だった。
瀬川くんとあたしは一緒にいるべきじゃなかった。
「───…ううっ…」
わかってる。
わかってるけど、想い続けちゃうんだよ。瀬川くんが…好きなんだよ。
「……っく、ごめんね。本当にごめんね、瀬川くん」
誰もいない進路室で、瀬川くんのタオルに包まれながら、静かに涙を溢した。