オレンジ色の校舎
「よかったな、健真!お前の夏はパラダイスじゃん」
「朱希ったら…て、照れるじゃんかよー。なっ、永納?」
「たっちー、照れてないで受験生ってことも自覚して」
「な、永納ぁー」
いつの間にか麻衣の表情は普段と同じように戻っていて、少しだけ惜しい気持ちになった。
「じゃあ遥、あたしちょっと先生のとこ行ってくるね」
「あ、うんっ」
そして、瀬川くんとたっちーから離れて自分の席へ戻ったあたし。
「おはよう」
そこへ一馬くんが登校してきた。うわぁ…寝癖がついてる。
「いつもより遅かったね?」
「俺だって毎日同じ時間に来るわけねーだろ?」
「あのさ、寝癖ついてるよ」
「……っせーよ」
慌てて頭を触る一馬くん。ちょっぴり鼻が高くなった気分。
「一馬くん寝坊したんでしょ?」
そう言うと、じろっと睨まれた。