オレンジ色の校舎





「友達になってくれない?」



「と…友達?」



「そ。友達!」



またもや、瀬川くんから予想もしていなかった言葉が出てきた。



「俺たち…別れてからあんまり会話してなかったじゃん?だから、このまま高校生活を終わらせたくないんだよね」



それは…あたしも思ってた。遠くから瀬川くんを見るのだけでもいいけど…やっぱり話はしたい。



「あ…あたしも…です。あたしも…普通にせ、接したい…」



「ふはっ。だーから、敬語やめろってよー」



声をあげて笑う瀬川くんにつられて、あたしも笑ってしまった。



あの時は想像もしていなかったけど…今、笑い合えてる。あたし、瀬川くんと笑ってるよ。



「じゃ、よろしく」



すると瀬川くんの右手が伸びてきた。あたしは震えながら左手を差し出した。



握手を交わした時に気づいた。瀬川くんの手がひんやりしていることに。






< 21 / 574 >

この作品をシェア

pagetop