オレンジ色の校舎
「友達になってくれない?」
「と…友達?」
「そ。友達!」
またもや、瀬川くんから予想もしていなかった言葉が出てきた。
「俺たち…別れてからあんまり会話してなかったじゃん?だから、このまま高校生活を終わらせたくないんだよね」
それは…あたしも思ってた。遠くから瀬川くんを見るのだけでもいいけど…やっぱり話はしたい。
「あ…あたしも…です。あたしも…普通にせ、接したい…」
「ふはっ。だーから、敬語やめろってよー」
声をあげて笑う瀬川くんにつられて、あたしも笑ってしまった。
あの時は想像もしていなかったけど…今、笑い合えてる。あたし、瀬川くんと笑ってるよ。
「じゃ、よろしく」
すると瀬川くんの右手が伸びてきた。あたしは震えながら左手を差し出した。
握手を交わした時に気づいた。瀬川くんの手がひんやりしていることに。