オレンジ色の校舎
「浅井が緊張してるように、俺も緊張してるんだけど」
へへっと照れながら話す瀬川くんをつい可愛いと思ってしまった。
瀬川くんも女子と話すと緊張するんだ。あたしだけじゃないんだ。あたしはちょっぴり安心した。
「お…お互い様…だね」
「だなっ」
短いやり取りでもいい。話せるなんて夢みたいだもん。そして、再び空を見上げたあたし達。
「あのさ、浅井」
「は…はい?」
「あれから好きな奴…出来た?」
「へっ?」
「い、いやっ。そのっ…俺と別れてからちゃんと恋…出来たか不安で。ほら、トラウマになって恋が出来ないとかあるじゃん?」
焦りながら話す瀬川くん。
び…っくりした。さっきの質問よりも何倍も驚いた。それより好きな人って…瀬川くんなんだけど。
あの時別れたことがトラウマで、恋が出来ていないかと考えてくれている、目の前にいる瀬川くん。
そんなに心配してくれてるなんてなんだか…笑っちゃうな。