オレンジ色の校舎
「遥、そろそろ本気で動き出さねーとヤバイんじゃねーの?」
わかってるよ。
瀬川くんへの片想いももう…3年目。気づかれないまま3年目。そして、楓ちゃんが瀬川くんに告白する。
「か…ずまくん」
「ん?」
「ゆ…夕焼け…キレイだね」
「……何言ってんだ、お前」
一馬くんの声を聞いてから、目の前に広がる夕焼けがどんどん滲んでいった。
「……や、やだ…嫌だよぉ」
2人を追いかけられない自分が、楓ちゃんに態度で示せない自分が…嫌だ。
いっても消極的で、何事も内気で好きな人の前では上手く話せなくて。
緊張ばっかりして、目を見て話すって目標を決めたけど、なかなか話せなくて。
「せ、がわ…くん」
夏の日の夕焼けは、あたしに寂しさを与えてくれた。
夏の日の一馬くんは、あたしの頭を優しく撫でてくれた。
夏の日のあたしは、いつもよりちょっぴり泣き虫だった。