オレンジ色の校舎





な……何だったの、今の。嵐が通りすぎたような感じが…。



「母さん!さっきのことを詳しく聞かせてくれっ!」



「うるっさいわね!遥はそういう年頃なのよっ」



家の外に出ても、家の中の戦いが聞こえる。あぁ…もう恥ずかしいじゃん。



「いいや…行かなきゃ」



近所への恥じらいを抱きながら、麻衣との待ち合わせ場所へ向かった。



「遥の浴衣姿、初めて見た」



目を丸くしてあたしを見る麻衣。あたしは小さく笑みを溢した。



「へへ。実は、高校に入ってから初めて着たんだよね」



「マジ?遥、青春忘れてるよ」



「わ…忘れてないよっ。だだだって…こ、恋してるもん」



「自分で言うとは成長したね」



いつも思うんだけど、麻衣に褒められるとくすぐったい気持ちになる。



黒をベースにした浴衣を着ている麻衣は、いつもより断然大人っぽい。ほのかに香る香水がちょっぴり酔わせる。



きっと男はほっとかないだろう。たっちー、早く捕まえていてよかったね。






< 238 / 574 >

この作品をシェア

pagetop