オレンジ色の校舎
な……何だったの、今の。嵐が通りすぎたような感じが…。
「母さん!さっきのことを詳しく聞かせてくれっ!」
「うるっさいわね!遥はそういう年頃なのよっ」
家の外に出ても、家の中の戦いが聞こえる。あぁ…もう恥ずかしいじゃん。
「いいや…行かなきゃ」
近所への恥じらいを抱きながら、麻衣との待ち合わせ場所へ向かった。
「遥の浴衣姿、初めて見た」
目を丸くしてあたしを見る麻衣。あたしは小さく笑みを溢した。
「へへ。実は、高校に入ってから初めて着たんだよね」
「マジ?遥、青春忘れてるよ」
「わ…忘れてないよっ。だだだって…こ、恋してるもん」
「自分で言うとは成長したね」
いつも思うんだけど、麻衣に褒められるとくすぐったい気持ちになる。
黒をベースにした浴衣を着ている麻衣は、いつもより断然大人っぽい。ほのかに香る香水がちょっぴり酔わせる。
きっと男はほっとかないだろう。たっちー、早く捕まえていてよかったね。