オレンジ色の校舎
「せ…瀬川くん、そんなに心配しなくてもいいよ。…トラウマはないし」
「本当に?まぁ…こんなこと俺が言える立場じゃねーんだけどな」
眉を下げてすまなそうにあたしを見る。トラウマにはなってないけど…後悔はしてるんだよ。
「ほ…ホントに。それに、今は恋はいいんだ」
だから、嘘をつくよ。君を好きなことを知られないために。
「浅井、やっぱり…」
「ち…違うよ。気になる人はいるけど、す…好きとかはいいの」
絶対に、君が好きだとは言わないから。だから…せめて想うことだけは許してください。
「アタックとかしないのか?」
「い…今はいいの。あたしの中だけの恋で」
「そっか。浅井…気になる奴いるんだな。俺、応援するからな」
好きな人に応援されるのはなんだか複雑だったけど、それでもいいんだ。
瀬川くんの笑顔が見られる。瀬川くんの声を聞いていられるんだもん。
ごめんね、瀬川くん。こんなずる賢いあたしを許してね。