オレンジ色の校舎
「お子ちゃまって意味だから変な誤解すんなよ?」
びっくりして、思考停止しちゃったじゃん。
「まさか期待した?」
「そんなわけないでしょ!」
始まりは最悪だったけど、花火大会は開始した。花火のお金は後で全員から回収するらしいよ。
男子は子供のようにはしゃぎ、女子も女子で笑い合っている。
「麻衣、見て見て!花火めっちゃキレイだよっ!」
「本当だ。あたしの花火も負けてないけど」
浴衣に花火に仲間。本当に花火大会に来ているようだ。それに、大空の宙に舞わない花火は身近に感じることができる。
身近で消えてしまう花火で寂しいけど。
綺麗な花火があっという間のように、この青春もあっという間。
こうやってみんなで花火をすることは、もしかしたら最初で最後なのかもしれない。
みんなこれからそれぞれの進路を歩む。だから、バラバラになるんだ。
あたしと麻衣も。
あたしとたっちーや一馬くんも。
────あたしと…瀬川くんも。