オレンジ色の校舎
「麻衣、他のコのところにも行ってくるねっ」
どうしてだかわからない。だけどクラスメートと花火をしてみようと思った。
「み、みんな浴衣可愛いねっ」
「そんなことないよ。ほら、帯ズレてるでしょ?それに遥ちゃんの方が可愛いよ!」
「お世辞はいいよー」
こういう時って、普段話さない人とでも話が出来る。花火パワーなのかな?
そしてあたしは数人のクラスメートの所を転々と回っていった。
「……ねぇ、あたしとも花火しようよ!」
手元に花火を仕入れ、楓ちゃんから声を掛けられた。あたしは断れない。
「こうやって、遥ちゃんと花火するなんて…不思議だね」
「う…うん」
正直、あたしはこの場から逃げ出したかった。思い込みかもしれないけど、楓ちゃんとは気まずいから。