オレンジ色の校舎
「中学の時に付き合ってたんでしょ、朱希くんと遥ちゃん」
ドクン…
な、なんで楓ちゃんがあたし達のことを知ってるの?
「遥ちゃんを可哀想な振り方しちゃったから…朱希くんは同情してるのかなって思って」
花火が、光を消し去った。
『浅井、おはよう!』
『浅井って教え方上手いなー』
『……んな顔すんなって』
あれは全部同情…だったのかな?ホワイトデーのお返しも、帰り道に傘を貸してくれたのも。
「あ…は。同情かもしれないや」
上手く笑えなかった。楓ちゃんを見れなかった。花火はもう、光を放たない。
全部、優しさじゃなかった。同情だったんだ。
「……………ごめん、遥ちゃん」
すると、あたしの肩に頭を預けて小さく呟いた楓ちゃん。あたしは抱いていた思いが一気に消えた。
「八つ当たりだよね。ごめん…本当にごめんね」
「八つ当たり?…楓ちゃん?」