オレンジ色の校舎
楓ちゃんは泣いていた。あたしは状況が呑み込めずにいた。だけど楓ちゃんが口を開いた。
「遥ちゃん…あたし…フラれちゃったよぉ」
誰が飛ばしたかわからないシャボン玉が目の前を飛んでいった。でも、今のあたしにはシャボン玉を追いかける余裕はない。
「……フラれた?」
楓ちゃんの爆弾発言に驚いているのだから。
「うん。…遥ちゃん達とのラブリーの帰りに宣言通り告白したの。そしたら…」
「そ、そしたら?」
「ありがとう、でもごめん…って言われちゃった」
楓ちゃんはさっきと変わらない体勢だから、どんな表情をしているかわからない。
だけど震えてる。あたしは出来るだけ優しく楓ちゃんの背中をさすった。
「…ショックだった。だって朱希くんとはかなり話す仲だし、ちょっとは期待してたんだけど…」
シャボン玉が楓ちゃんの頭についた。シャボン玉の透明な色は楓ちゃんの落ちた涙と同じ色だった。