オレンジ色の校舎





「てことは浅井は暇?」



「あ…うん。でも…」



「じゃあ一緒に花火しよう?今、いろんな奴としてたんだけど、線香花火で勝負しようよ!」



嬉しいお誘いに思いっきり頷く。あたし達は余っている線香花火と他種類の花火を持って移動した。



「…線香花火って久しぶり」



「そうなの?俺たちの中で花火といったら線香花火で勝負だぞっ」



線香花火を見せびらかして瀬川くんが笑った。



「じゃあ始めるぞ」



あまりの緊張する雰囲気に、唾をゴクリと飲み込んだ。



「始め!」



パチパチ…小さな火花があたしと瀬川くんの手元から放たれた。



「うわ…小さーい」



「浅井みたいじゃん」



「……ち、小さくないっ」



瀬川くんに言い返した瞬間、線香花火が地面にポトリと落ちた。



「あぁーーっ」



「浅井早すぎだろ?線香花火が可哀想じゃん」



渋々落ちてしまった線香花火を始末し、再び新しい線香花火を手にした。






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