オレンジ色の校舎
「おはよう、遥ちゃん!」
声を掛けると、楓ちゃんはニコッとして、あたしに振り向いてくれた。
「楓ちゃん、あ…あのさ…」
「ん?どうしたの?」
言え…言うんだ、あたし。楓ちゃんだって、フラれたことをあたしに伝えてくれたんだ。
あたしだって、瀬川くんとのことを伝えなきゃいけない。
「あ…せ、瀬川くんと…その…付き合うことに……なりました」
持っていた教科書を落としそうになった楓ちゃん。
「へ…え…そっか」
「う、うん。それで…」
「それってさ、瀬川くんにフラれたあたしへの自慢?」
「ち…違っ」
「だって、わっざわざ報告してくれるなんて…自慢じゃん?」
違う…全然違うのに、返す言葉がない。楓ちゃんが怖くて、顔が見れない。
「……なーんちゃって」
え?