オレンジ色の校舎
「どうした、浅井?そんなに荒れて…」
「なんっでもありませんっ」
須田ちゃんはクエスチョンマークを浮かべる。あたしは怒りを鎮めながら進路相談をし始めた。
「……と、まぁその方向でいいんじゃないか?今後は面接とか頑張らなきゃな」
「は、はいっ」
とりあえず、自分の進路が落ち着いたあたしは安堵をもらした。同時に机にあったS大の資料が目に入った。
「あれ?先生、うちのクラスにS大受ける生徒いたんですか?」
「あー…それは浅井に、な」
「一馬くんですか?」
「あぁ。アイツにK短は勿体無い気がして。本当は本人も、もっと上も考えていると思うんだけど、家庭の事情もあるしなぁ…」
「家庭の…事情?」
─────…
「…し、失礼しました」
職員室を後にして、鞄を持って玄関に向かうあたしの足取りは重かった。
『浅井は…父子家庭なんだ。だから経済的な面を考えて、近くのK短を選んだと思うんだ』