オレンジ色の校舎
ふと、さっきの一馬くんを思い出した。
『誰かさんと違って頭いーから』
あんな嘘をついて、家庭のことを考えてたんだ。自分の進路を犠牲にして。
「…一馬くん、頭悪いじゃん」
勉強は人一倍出来るのに、自分の進路は犠牲にして…頭悪すぎる。何とか出来ないかな?…でも思いつかない。
重いため息が溢れる。靴箱から靴を取り出して帰ろうとした。
「……おっせーぞ」
あたしのいる靴箱の反対側から声が聞こえてきた。わわわっ、誰か待ち合わせかな?
カレカノだったらお邪魔だし、早くここから立ち去らなきゃっ。早足で玄関を出ようとした……が、
「浅井、待てよ」
イキナリ名前を呼ばれて反射的に足を止めた。振り返ると、
「えっ!せ…瀬川くん!?」
目の前には、麻衣達とラブリーにいるはずの瀬川くんがいた。