オレンジ色の校舎





「まぁ、出来るだけ沈黙は避けるように…する…けど」



照れ臭そうに言った瀬川くん。一生懸命な瀬川くんが嬉しかった。



「そうだね。…あ、たしも頑張るねっ。瀬川くんとたくさん話せるようにっ」



「頑張るって…大袈裟な」



「ううん、頑張らなきゃっ」



あたしの言葉にふふっと笑った瀬川くん。あたしも小さく笑った。



それからあたし達は、お互いのことを知るために好きな食べ物、好きな色、といっぱい教え合った。



噛み噛みになりながら話すあたしを、落ち着けという表情をしながら答える瀬川くんだった。



瀬川くんの好きな食べ物は、カレーと焼きそば。好きな色は、青。好きなスポーツは、もちろんバレー。そして、



『好きな人は……お前』



と言ってくれた。



瀬川くんとの帰り道。見馴れた景色が夕日に照らされて、あたしのようにキラキラしていた。






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