オレンジ色の校舎
「遥ー?早く行くわよ」
誰を待ってたと思ってんのよ、という言葉は溢さず麻衣の元へ駆け寄った。
瀬川くんとはまだ会っていない。たっちーも途中、教室を抜けていたし、女パラの準備があったようだ。
「遥、瀬川くんに会いたい?」
「あ…後から会えるからいいもんねっ」
「あたし朝、廊下で会ったよ。そしたら…女パラの格好してた」
「えっ!?麻衣、もう瀬川くんの女装見たの?」
「いや、格好は見てないけど…初期段階ってやつ?化粧の練習をしてたらしくて…ケバケバしい顔だったよ」
ちょっぴり引きつった顔をする麻衣を見て、瀬川くんの女装を見るのが怖くなった。
「ふふ。まぁお昼が楽しみだね」
苦笑する麻衣だが、楽しみだけど楽しみでない自分がいた。