オレンジ色の校舎





運動靴に履き替えて外に出ると、蒸し暑い気温が体を取り巻いた。うぅ…暑いよ。



「今から体育祭だってのに顔死んでるぞ、浅井っ」



一瞬にして暑さが吹っ飛んでいった。代わりに、別の熱さがあたしを取り巻いた。



「せ…瀬川くん。お…おはよう」



「おはよっ。確かに今日は暑いよなー」



「あら、ざんねーん。もう化粧取っちゃったんだね、瀬川くん」



「な…永納。それ、もう言わなくていいから。てゆうか忘れてよ」



よっぽど嫌だったんだね、瀬川くん。一気にげっそりとしちゃってるよ。



「……な、永納…浅井に変なこと言ってないよな?」



「ケバケバ化粧のことはバッチリ報告しておいたけど?」



「!!…嘘だろぉー」



「ま、まぁまぁ。だけど、瀬川くんの女装、あたし楽しみにしてるからねっ」



フォローしたつもりなのに、逆に静かになってしまった。






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