オレンジ色の校舎





「はい、終了」



デジカメをあたしに返して、何事もなかったようにグラウンドに目をやった麻衣。



「……ま…麻衣」



「何?1枚じゃ足りないの?」



「ううん。あ、ありがとうっ」



内気なあたしはこういうことが出来ない。だから、麻衣には本当に感謝している。



「ふっ。でも…共犯者だからね。バレたら遥にも罪はあるよ」



「そっ…そんなぁ」



「あ、デジカメ落ちるよ」



慌てて落ちそうになったデジカメを拾い上げた。このデジカメは落とせない。



大好きな瀬川くんのスマイルが残ってるんだもん。



『3年男子、選抜徒競走スタートしまーす!』



放送が耳に入り、あたしは現実に引き戻された。






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