オレンジ色の校舎
あたしの名前は浅井遥(アサイハルカ)。学力は良くもなく悪くもない、ごく普通の女子高生。そして、普通に恋もしている。
「おっす、朱希!」
あたしの好きな人の名前は、瀬川朱希(セガワアキ)くん。ラッキーなことに同じクラスだ。
「ほら遥、瀬川くんだよ。挨拶くらいしたら?」
麻衣が隣で指図するが、
「む、無理無理!恥ずかしいに決まってるじゃんっ」
「遥ってシャイってゆうか、意気地無しってゆうか…」
「仕方ないじゃん。だって…」
だって、あんなことがあったのに好きですオーラが出せるわけないじゃん。
「その話は何度も聞いた。それ考えたら…何も言えないじゃない」
こればかりは何も言わない麻衣。
実は、あたしと瀬川くんは中学3年生の時、付き合っていた。いわゆる瀬川くんは…あたしの元カレだ。