オレンジ色の校舎
「ん?性格はよくないだと?」
「だって本当じゃん」
それから、少しして口を開いた一馬くん。
「……友達、か」
空を見上げる一馬くんの目には、夕焼け空の雲が映っていた。
「……俺…S大に行きたいよ」
やっと聞けた、一馬くんの本音。
「資料も隅々に目を通して行きたい学部も決まってた。だけど、親父と進路の話題になってさ…」
「うん」
「S大のことを話そうとしたら…親父が言ったんだ」
──────…『一馬もいなくなったら寂しいなぁ』
「母さんが死んでも寂しい素振り1つ見せなかった親父が、そんなこと言ったんだ。だから俺…S大のことを言えなかった」
一馬くんは、一馬くんなりに苦しんでいたんだ。