オレンジ色の校舎
「それに須田ちゃんが言った通りS大は経済面な負担も…な。K短の方が断然安い」
「うん」
「親父が今も苦労してる姿を知ってる。だから俺は…S大は諦めて就職の手も考えた。だけど…」
──────…『就職をするには早すぎる。一馬のやりたいことはまだ山ほどあるだろ?金の心配はいらないから、な?』
いつの間にか校庭にまで辿り着いていた。靴が砂をかすめる。風はあたし達の頬をかすめる。
「周りの奴等が夢に向かっている姿を見たら羨ましかった。俺もS大行けないかな…って」
「行けるよ!」
あたしは一馬くんの手を取って握りしめた。
「一馬くんがS大に行きたいことを真剣にお父さんに話したら、必ず行ける!」
「保証は?」
「……ない」
「何だそれ」