オレンジ色の校舎
言った。……い、言ってしまったよ。瀬川くんの表情が見れず、うつ向いて歩くあたし。
「……大したこと…だし」
だけど、瀬川くんが言った。
「浅井…嬉しすぎるんだけど!」
「へ?…ってわぁぁぁぁっ」
瀬川くんは口を開いた瞬間、繋がれている手のまま走り出した。あたしの足は空回り。
「せ…瀬川くっ…」
「浅井の口からそれ聞けて、やっべぇ嬉しいんだけどっ」
「わわわわかったからぁぁぁ…」
「ダメだ、走りたいっ」
それから、たっちーの家に着くまで全力疾走で駆けていった瀬川くん。
あたしはヘトヘトになりながらも瀬川くんの手だけは掴んだままだった。
嬉しかったよ。人が見ていても手を離さないで走ってくれたこと。
小さな幸せを感じることが出来たんだ。