オレンジ色の校舎
「一馬くんどうしたんだろうね?来ないのかな?」
「来るときゃ来るわよ。そんなに一馬くんばかり気にしてると、旦那が怒るわよ」
「だ…旦那って…恥ずかしいからやめてよっ」
「もう…遥、そろそろ胸張ってみなよ?瀬川くんがあたしの彼氏よ!って」
「い…今のままでいいよ」
「楓みたいに瀬川くんを狙う女のコも少なくないのよ。特に今日の女パラを見たでしょ?あの瀬川くんの……可愛さ」
不適な笑みを浮かべた麻衣に寒気を感じ、近くにあったオレンジを飲み干した。
「あの可愛さにやられた女子は多し。体育祭後、瀬川くんに駆け寄る女子を何人見たことか」
「いつの間に、そ…そんなに見たの!?」
「あんたが瀬川くんを残したデジカメに見とれている間」
麻衣はあたしの小さな行動まで見逃していなかった。