オレンジ色の校舎
噛んじゃったのは、瀬川くんが目の前にいて緊張していたからなんだけど。
「ふふっ。遥、今年もよろしくだってさ」
「だ…誰にでも言うんだよ。あ…あたしだけにじゃないもん」
「とか言って嬉しいくせに」
麻衣に脇腹をつつかれた。正直に言うと、ありきたりの言葉だけど嬉しかったよ。
「あーあ。学校始まっちゃった。これから寒い中登校なんて嫌ー」
「そんなこと言わないでよー。あたしは麻衣と過ごせる日々が戻ってきて、嬉しいんだよー?」
「はいはい。プラス瀬川くんもいるからでしょ?」
「んななな…ち…ちが…っ」
「遥、わかりやすい」
「ま…麻衣のあほーっ!」
こうやって、自分の会話に瀬川くんが登場すると嬉しい。それに、瀬川くんの姿が見られるのも嬉しい。
だけど、やっぱりダメなんだ。
瀬川くんの近くにいると、さっきみたいに噛みまくって上手く話せない。