オレンジ色の校舎
「浅井は鈍感だから何も気づかないんだよ」
さっき麻衣と座ったベンチに座った瀬川くん。あたしもてててっと隣に座った。
「………瀬川くんこそ鈍感だよ。3年間あたしの想いに気づかなかったんだし」
「だって、あんなことがあったら嫌われてるって思うだろ?」
「お、もわないよ。逆にどんどんす……」
「す?」
「……きになっていったもん」
「言い方、変っ」
「笑わないでよっ」
並んでいる自分の足と瀬川くんの足を見比べてみた。でも、やっぱり瀬川くんの足は大きくて。
「カズ、よかったみたいだな」
「うんっ。やっぱり自分の行きたい道に進まなくちゃダメだよ。今しかワガママは許されないっ」
「じゃあ、俺から浅井にワガママ言っていい?」
「え?」