オレンジ色の校舎





日本人なのに瀬川くんを前にすると、一瞬にして…日本語が話せなくなる。



だから見つめるだけの恋でいい。話せる勇気が、ないから。



そして、今年もまた瀬川くんのいる生活が始まったのだった。



────────



「ねぇねぇどうする?」



「やっぱり恥ずかしいもんなぁ」



「あたしやるよー」



始業式から2週間が経ったある日の休み時間。あたしはクラスの女子が話している内容に耳を集中させた。



「遥、あんた何してんの?」



すると、タイミング良く麻衣が登場した。



「あは…ち、ちょっとみんなの話題が気になって…」



「あーバレンタイン?」



そう。さっきクラスの女子が話していたこととは…もうすぐ訪れるバレンタインのことだった。



「みんな…好きな人にチョコあげるのかな?」



「まぁ、告白のチャンスだからあげるんじゃない?てか、遥も瀬川くんにあげるんでしょ?」



「うぇ!?あ、あたしっ?」



「何、あげる気ないの?」






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