オレンジ色の校舎
「うまく言えねぇけど…なんか、ショック」
たっちーの横顔は痛いくらいに悲しい表情をしていた。
「……海にも永納と付き合い始めたことは報告してた。ちゃんとおめでとうって言ってくれたのに…海はまだ好きだったのかよ」
応援してくれていたはずの海くんは、実はたっちーのライバルだった。
「別に…恨みたくないけどどうしても許せなくて。永納も海も……自分自身も。だから、昨日の永納からのメールも返信しなかった」
いつの間にか隅っこにいたラブラブカップルは姿を消していた。
「あのさ、永納…泣いてた?」
「え?」
「打ち上げの時、俺が居なくなった後…泣いてた?」
「ううん、泣いてないよ。震えてたけど泣いてなかった。きっと我慢してたんだよ」
「………そっか」
あの時、麻衣は確かに涙は見せていなかった。だけど…心は泣いていた。