オレンジ色の校舎





「ごめん、一馬くんの受験日は把握してなかったっ」



「だって朱希のことしか頭にねーもんな」



「そ…そんなんじゃないもんっ」



「だーかーらー隠せてないんだって、お前は」



あたしにデコピンを食らわせた一馬くん。あぁ…瀬川くんとのおでこ合わせの思い出がぁ。



キッと睨み付けて、頭の中はK大でのスクールライフに花を咲かせていた。



───────…



「が…頑張って、ねっ!応援…してるから」



『応援してるわりには、弱気な声援だけど?』



「な…なんか緊張しちゃって」



『あははっ、なんで浅井が緊張すんだよ!』



夜、あたしは自分から初めて瀬川くんに電話をした。どうせメールだと作成に何時間もかかっちゃうからね。



『浅井の声が聞けてよかった。リラックスして眠れそうだよ』



やっぱり、瀬川くんも緊張してるんだよね。……よぉし。






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