オレンジ色の校舎
「じゃ、またね、遥」
グッドタイミングでチャイムが鳴ったおかけで、あたしの反論は途切れた。そして渋々席に着く。
…バレンタインなんて、嫌なんだけどなぁ。
黒板にチョークで白い文字が記されるのを見つめながら、中3のバレンタインを思い出していた。
中3のバレンタインは、受験勉強に没頭していた…わけではなく、瀬川くんとの初めてのバレンタインに頭をフル回転させていた。
何をあげようか迷った挙げ句、学校帰りに見つけた市販のチョコを渡した。派手すぎない可愛さでラッピングしてあった。
『浅井、ありがとうっ』
そんな市販のチョコでも瀬川くんは嬉しそうに受け取ってくれた。
その後、手作りにすればよかったって後悔した。だから次は頑張ろうかなって思った。
でも結局、瀬川くんとのバレンタインはそれが最初で最後だったけど。
「手作り、かぁ…」
あの時は挑戦しよう!って思ってたけど…。彼女でもない友達から手作りって嫌じゃないかな?