オレンジ色の校舎
14.秋風が、吹く
「うぅーあとは俺だけかぁ」
数日後、たっちーが机に顔をつけながら呟いた。
「勉強の調子はどう?受験科目に数学があるんだよね?」
「そうなんだよぉ。麻衣が徹底的に教えてくれるけど…結果がイマイチなんだよ」
「そうなんだ…」
教室にはあたしとたっちーのみ。麻衣は受験後の書類のことで担任に呼ばれ、瀬川くんはバレー部に顔だし中。
一馬くんは、S大に行く者として放課後に1時間だけ補習を受けている。すごい意気込みだねと言うと、
「別に。放課後暇だし」
と無邪気な一馬くんは現れず、いつもの一馬くんに戻っていた。
「……それに、麻衣ともこのままじゃ不安なんだよな」
「なんで?いつも通りの2人じゃないの?」
「最近かなり冷たいんだよー。勉強中もトゲトゲ度が増してるし…嫌われてんのかな?」
トゲトゲは…まぁ否定は出来ないし、嫌うことは今に始まったわけじゃないけど。