オレンジ色の校舎
「あの、ちょっといいですか?」
小柄で口元のホクロが印象的な女のコがあたし達を見つめた。
「は、はい。何か?」
「あたし2年3組の橋本楓っていいます。あの、呼んでほしい人がいて…いいですか?」
「いいですよっ。誰ですか?」
「朱希くん。瀬川朱希くんをお願いします。チョコ渡したくて…だけど上手く呼び出せなくて…」
そう言うと、女のコは頬を赤く染めて俯いた。え?…瀬川くん?瀬川くんにチョコ渡すの?
「わ、かりました」
あたしは教室に入って瀬川くんの元へ向かった。
そりゃ、瀬川くんだって呼び出されるよ。男子バレー部のキャプテンだし…人気はある。
さっきのコは、チョコを渡して瀬川くんに気持ち伝えるんだよね。その勇気、分けてほしいよ。
そんなことを考えていると、瀬川くんの元へ着いた。
「ん?どーした、浅井」
いつもと変わらない爽やかさであたしを見る瀬川くん。もちろん、あたしの胸は高鳴った。