オレンジ色の校舎
「あ…あの、い…ま大丈夫?」
「今?大丈夫だよ」
「あ…ありがとっ。ち、ちょっといいかな?」
勇気を出して、精一杯の言葉を並べた時だった。
「おぉっ!朱希、浅井から呼び出しかよー。いいなぁ、俺もチョコ欲しいぞーっ」
瀬川くんの近くにいた1人の男子が言った。途端に瀬川くんは焦った表情を見せた。
…何言ってるの?
その男子の言葉に、周りが『告白の場所はどこにしますー?』とか『いつから好きなんだよー』と冷やかし始めた。
やめて、やめてよ。ほら、瀬川くん困ってるじゃん。また…傷つけちゃう。
─────…また、あたしが瀬川くんを傷つけちゃう。
「…がう…」
「えっ?もしかしてここで愛の告白っ?」
「あ…あたし…じゃない。チョコを渡すのあたしじゃないよ…」
怖かった。また瀬川くんに嫌われそうで。これ以上嫌われたくなくて。