オレンジ色の校舎
「おはよう」
そして校舎が見えてきた頃、ポンッと肩を叩かれた。麻衣じゃない男のコの声がした。
もしかして。
あたしは期待をして振り返った。だけど…
「遥、今日早くね?」
あたしの目の前にいたのは、瀬川くんではなく…一馬くんだった。
「……あ、おはよう」
「質問の答えになってないけど」
「あ…今日は早起きしたの。だから早く家を出て…」
隣を歩く一馬くんに、頭に浮かんだ返答の言葉を話す。
「ふーん。てゆうか悪かったな」
「へっ?」
「振り向いた時の顔、朱希じゃなくて残念って顔してたけど?」
朱希…その名前を聞くと、胸が痛む。胸が変に緊張してしまう。
「だけどその残念も解消だな。ほら、朱希が来たぞ」
嘘?あたしは慌てて後ろを振り向いた。