オレンジ色の校舎
多くの生徒に紛れて、瀬川くんの姿が見えた。
……きゅん。
あたしの足は一馬くんの存在を忘れて、瀬川くんの元へ向かった。伝えたい。早く瀬川くんに伝えたい。
「せ、せ……がわくん」
瀬川くんの前に立った。瀬川くんは少し驚いた顔を見せたが、
「………はよ」
と返してくれた。シカトはしなかったけど、一瞬しか目を合わせてくれなかった。
「あ…あのねっ」
「俺、用事あるんだ」
「えっ?」
話そうとしたあたしの言葉を遮って、通りすぎようとした。あたしは咄嗟に瀬川くんのカバンを掴んだ。
「ま…待って。ちゃんと説明…」
「浅井」
背を向けたままあたしの名前を呼んだ瀬川くん。ビクッとして立ち止まったあたし。
な……何だろう。