オレンジ色の校舎
「……遥」
今聞きたい声は一馬くんの声じゃないのに、一馬くんの声に安心感を覚えるあたしがいる。
「あ……恥ずかしい姿見せちゃったね」
「はる…」
「は、早く学…校行か…」
「遥っ」
一馬くんに、ギュッと腕を握られた。心が揺れる…どうしようもなく締め付けられる。
「無理すんなよ」
「………むり…するよぉ」
早く話がしたいのに、瀬川くんは見てくれない。それなのに…一馬くんは気にかけてくれる。
一馬くんに気が向いてる場合じゃない。
瀬川くんとこれからどうなっちゃうんだろう?
また一緒に笑い合えるの?頭を撫でてくれるの?照れる表情を見せてくれないの?
瀬川くんが去った道路を見つめ、隣に一馬くんの気配を感じながらセツナイ気持ちを抱いていた。