オレンジ色の校舎
「お前ら浅井に謝れよ」
すると瀬川くんが言った。あたしはおそるおそる瀬川くんを見た。
「今ので絶対に浅井は傷ついた。浅井には俺じゃなくて、好きな人がいるはずだ。お前ら謝るべきだろ?」
嘘…瀬川くんがこんなこと言ってくれるなんて。
「あ…浅井ごめんな」
「オレも悪かったっ」
すると数人の男子が謝ってきた。あたしは慌てて首を振った。
「浅井、本当にごめんな」
瀬川くんも深々と頭を下げる。あたしはあたふたするばかり。
「だだだ大丈夫だからっ。き…気にしないでっ」
「ありがとな。で、浅井じゃないなら誰が用事…?」
「あ、あの3組の橋本さんが瀬川くんに…」
「橋本?…あぁ、もしかしてバスケ部の奴かな?」
出しっぱなしのイスを戻しながら頭の中の記憶を辿っている様子の瀬川くん。
チラッと教室のドアを見た。橋本さんが心配そうにあたし達を見ていた。…早く来てほしいよね。