オレンジ色の校舎
「ま…待ってるから、早く行った方がいいよ」
嫌だけど、橋本さんの気持ちわかるもん。
「お、おぅ。サンキューな」
自分で言ったのに、橋本さんの元へ向かった瀬川くんの後ろ姿を見たら悲しくなった。
「だーから言ったでしょ?今日は決戦の日だって」
隣を見ると、麻衣が瀬川くん達を見ながら腕を組んでいた。
「悲しいなら…悔しいならチョコ渡そうよ。今日の間ならいつでもいい。だから決意したら言って。あたしもたっちーに渡すから」
そう言うと、自分の席に戻った麻衣。麻衣の背中に語り掛けても、届かなかった。
渡せるのかな?あたし、勇気出せるのかな?瀬川くんにチョコ、渡せるのかな?
「おーい、授業始めるぞぉ!」
あたしの不安をかき消すように、英語の先生が入ってきた。あたしはため息を溢して、教科書を出した。