オレンジ色の校舎
「…麻衣、あたしはもういいや。チョコ渡さないよ」
「なんで?遥、後悔するよ?」
「いいの。…麻衣はどうする?」
「まだアイツ学校にいるし渡す。それで…遥に申し訳ないんだけどさ…」
教室にいるたっちーをチラ見してイキナリ、両手を合わせて麻衣は言った。
「お願い。たっちーを呼び出してくれない?」
麻衣にしては珍しい行動だ。だって、いつもの麻衣ならちゃっちゃとチョコを渡しちゃうだろうし。
…たっちーのこと、本気で好きになりかけてるんじゃないかな?
「了解。場所は教室でいいの?」
小さく頷いた麻衣を確認して、あたしは教室を出たたっちーの後を追いかけた。
だが、たっちーは他の男子達と話をしながら玄関へ向かっていた。
…む、無理。あたしは近くの柱に隠れた。あんなにたくさんの男子の中な行けるわけ…
「浅井?」