オレンジ色の校舎
「風邪?引くわけねーじゃん」
へへへ、と笑う瀬川くん。だけど嘘だよね?さっき少しだけ咳き込んでたし。
「…瀬川くん、コレも」
もしかしたらって時のために、ポケットに入れておいたのど飴を出した。
「…!だから、浅…」
「さっき、咳き込んでたくせに」
じっと瀬川くんの目を見た。でも今までこうやって見れたことはなかったし、すぐに逸らした。
「あ…あたしがマフラーを借りたせい…だよ。本当にごめんね」
「浅井のせいじゃねーよ。俺の不注意だって」
「違…」
「だけど、貰っとくよ」
手のひらに乗っていたのど飴が姿を消した。のど飴は瀬川くんの口の中へ。
「ん、美味い」
ニコッと笑ってのど飴の味を確かめる瀬川くん。
うわぁ…あたしドキドキしてる。