オレンジ色の校舎





だけどね、気づかされたんだ。



「……ありがとうな」



お礼を言って去る時、彼女だった時は頭を撫でてくれたのに、今は…肩を叩いただけだった。



教室に入った瀬川くんの背中を目で追う。振り向くわけもないのにね。



あぁ…そうなんだ。これが友達の距離なんだ。あたしと瀬川くんが友達に戻った証拠なんだ。



……わかっているのに、鼻の奥がツンとする。



「泣かないの。ココは学校よ?」



そんなあたしの頭を優しく撫でてくれたのは、麻衣だった。



「ま、麻衣ぃ」



「あら、あたしじゃ物足りなかった?」



「ううんっ。嬉しい!」



「そ、あんたはその顔が似合うわよ」



やっぱり持つべきものは友だね。麻衣が傍にいるだけで落ち着くんだよ。



「さーて、たっちーはどうだったかしら?」



何だかんだ言うけど、結局は気にしてるじゃん。






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