オレンジ色の校舎
空耳かと思った。だって瀬川くんの声が聞こえたんだもん。
「せ…瀬川くん。部活は?」
「教室に忘れ物して今から戻る!…浅井は何してんの?」
「あ…あたしはその…たっちーに用が…」
「たっちー?…あぁ健真か。アイツに用って?」
「えっと…その…」
これは言っていいのかな?麻衣の手助けをしているって。いや、でも個人情報保護法に関わらないかな?
「ごめん、浅井。余計なこと聞いちゃったな」
すると瀬川くんが謝ってきた。あたしは慌てて顔をあげた。
「…チョコ、渡すんだろ?」
「あ…う、うん」
渡すんだよね?まぁ、あたしじゃないけどね。
「わかった。俺が呼ぶから待ってて。おーい健真ー!」
瀬川くんが呼んだ瞬間、たっちーが振り返った。
「健真、呼び出しー!…じゃ、俺部活に行くから。また明日な」
「あ…ありがと。部活頑張っ…」