オレンジ色の校舎
「よ、良くないよー!ハラハラしちゃったんだから」
勢いにまかせて、ジューッとオレンジを飲み干すあたし。麻衣はフッと笑う。
「瀬川くんへの恋心と浅井くんへの新たな想いで揺れてるわけ?」
「…うん。どっちも考えちゃう」
「浅井くん昇進したんだね」
「し、昇進って…。あたしは迷ってるのに」
確かに前より…一馬くんのことを考えるようになってきた。だけど…瀬川くんを忘れられないあたしがいる。
「今度は進路じゃなくて、恋愛に悩める時期ね」
「こんな時期いらないよぉ…」
またお客さんが来たのだろうか。店が賑わい出す。するとたっちーがひょこっと顔を出し、
「麻衣、よかったら出て来れねーか?大人数の客が入って…」
と麻衣に助けを求めた。あたしが行け行けと背中を押し、元旦に一緒に初詣に行くことを約束して、麻衣とバイバイをした。