オレンジ色の校舎
「あ、あたし日直だ。日誌取りに行かなきゃ」
そう言った麻衣は、慌てた様子で教室から出て行った。その拍子に机の上にあったプリントが、宙を舞って床に落ちた。
慌ててプリントを拾おうとした。だが、
「はい」
誰かが拾ってくれた。でも、誰かなんてすぐにわかる。
「あ、ありがとう、瀬川くん」
拾ってくれたのは瀬川くんだ。あたしはどぎまぎしながらお礼をした。
瀬川くんはニコッと笑い、男子の輪の中へ行った。
「いいモン見ちゃった」
すると、タイミングよく麻衣が帰ってきた。麻衣はニヤニヤしながらあたしを見ている。
「瀬川くんと話してたじゃん。よかったね」
「なっ……麻衣が落としたプリントを拾ってくれただけだよ!」
「お。恋のキューピッドはあたしだった?」