オレンジ色の校舎
たっちーと楓ちゃんがニコニコするトシさんと話続ける。
「ねぇ、いつ意識が戻ったの?」
「今さっきだよ」
「マジ?話して大丈夫?もう少し休ませた方がいいんじゃない?」
「大丈夫だろ。親父は話がしたくてしょうがないから、付き合ってくれるとありがてぇよ」
少し心配する麻衣に一馬くんが言った。本当だ、すごく楽しそうに話してる。確かあたしもたくさん話しかけられたっけ?
「とりあえずよかったな。意識が戻って一安心」
瀬川くんがそう言って、差し入れとあたしと一馬くんに飲み物を渡した。…あっ。
「浅井、オレンジ…好きだったよな?」
覚えていてくれた。一緒に帰った帰り道で、好きな飲み物を教え合ったことがあったんだ。
「あ…りがとう」
ただそれだけのことなのに、胸が熱くなる。もう何もないってわかってるのに…瀬川くんの顔が上手く見れない。
「朱希、俺コーヒー苦手なんだけど?」
「あ、ソレ押し間違えた。だから我慢してな?」